ペット可物件を知る・探す

ペット不可の物件で飼ったらどうなる?

近年、分譲新築マンションでは「ペット可」の物件が多数となりました。しかし、賃貸住宅では圧倒的に「ペット不可」の物件がほとんど。そもそもなぜ賃貸住宅では「ペット不可」の物件ばかりなのでしょうか?
宅地建物取引士の三上隆太郎さんが解説します!

賃貸住宅のほとんどは、なぜペット禁止(不可)なのか

ペット禁止(不可)の賃貸住宅が多い理由は大きく2つあります。
1つ目は、賃貸住宅の大家さん(オーナー)はペットが原因による入居者間同士のトラブルを危惧するからです。
例えば、犬が大きな声で吠えたり、甲高い鳴き声で鳴いたりすると、騒音でご近所に迷惑をかけることになります。また、ペット特有の臭いだけでなく、ペットの糞尿をきちんと処理していないと、悪臭トラブルとして発展するケースもあります。また、室内ならまだしも、室外でペットのブラッシングやトリミングをしてペットの毛をご近所に飛ばすと、近隣住人は不快に思うでしょう。
このようなトラブルは入居者がペットを飼育していなければ当然起こらない問題のため、不要なトラブルを防ぐ観点から、賃貸住宅の大家さん(オーナー)はペット禁止(不可)にしたがる傾向が強いのです。
2つ目は、ペットを室内で飼育すると、ペットの爪で床や壁紙、扉や設備といった室内のいろいろな部分が傷つけられたり、ペット特有の臭いが室内に残ることがあるため、その原状回復に時間と費用と労力がかかること。それだけでなく、ペットを飼育していた借主と物件オーナーや不動産会社などの貸主との間でトラブルもよく起きています。

※原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること。国土交通省「原状回復のトラブルをめぐるガイドライン」8ページより

ペット禁止(不可)の物件でさえ、契約終了時の明け渡しや原状回復時に借主とのトラブルはよく起こります。ペット可の賃貸住宅ではなおさら…というのが、賃貸住宅の大家さん(オーナー)の考えです。

以上「原状回復トラブルをめぐるガイドライン」では、ペットによる汚れやキズは借主が負担する(20ページ参照)としています。これらを知らない借り手が多いため、ペット可物件の賃貸借契約では、以下のような特例が付いた物件もあります。

原状回復を借主の負担とした特約例
ペットの飼育に伴う汚損(臭いを含む)・破損などによりフローリングの張り替え、設備類の修理交換、通常のルームクリーニングの範囲を超える脱臭、消臭、洗浄などが発生した場合や、賠償問題などが発生した場合、借主の負担において原状回復を行うものとする。

ペット不可賃貸。小動物なら飼ってもいいのか
それでは、犬や猫と違い小さなかごやゲージなどで飼育できる小動物なら飼育できるのでしょうか?
犬や猫と違い、大きな鳴き声を出さないうさぎやカメ、小さな水槽でも飼育できる熱帯魚などの小動物。これらの飼育も、ペット禁止(不可)の賃貸住宅では飼育できない場合が多いのが現状です。
なぜなら、小動物でもご近所に迷惑をかけたり、室内や建物に傷や被害を与えることがあるからです。
 例えば、最近はヘビやトカゲといった爬虫類だけでなく、サソリといった危険な小動物を好む人もたくさんいらっしゃいますが、ある日突然、飼育していたヘビやトカゲが逃げ出してしまったらどうなるでしょうか?また、熱帯魚を飼っている水槽が地震などで倒れたら?、ご近所の方々に怖い思いをさせるだけでなく、ケガをさせる可能性や、階下居住者の家財への賠償が生じる場合も出てくるでしょう。
 また、ペット可の賃貸物件だったとしても、犬の大きさや飼育頭数の目安が設けられています。小動物の種類や大きさなども同様です。自分自身で勝手に判断せずに、大家さん(オーナー)や賃貸仲介業者と相談してください。
 これらは賃貸借契約書にて以下のような特例に記されています。

 貸主の承諾と敷金追加の特約例
借主は本物件においてペットの持ち込みや飼育を行う場合には、事前に書面にて貸主の承諾を得るものとする。またこの場合、借主は賃料1カ月分相当額を敷金として追加で貸主に預け入れるものとする。
 ペットの種類と頭数の特約例
貸主は、借主が現在飼育をしている犬1匹に限り、本物件において借主が飼育することを認めるものとする。また、借主がこれ以外のペットを飼育する際は、借主は貸主に事前に書面による通知をし、貸主の書面による承諾を得ることを要するものとする。
 ペットの飼育場所や禁止事項などの特約例
借主はペットの飼育にあたり、動物の保護・管理に関する法律及び下記各号に定める事項を遵守するものとし、他の居住者との間にペットに関するトラブルが生じた場合は、借主の責任において誠意をもって解決するものとする。
1. 室内の専用部分のみで飼育し、バルコニー及び敷地内の共用部分などで飼育しないこと。
2. 常に清潔を保ち、害虫の発生予防や健康管理に努めるとともに、必要なしつけを行うこと。
3. 異常な鳴き声や糞尿などから発生する悪臭によって、近隣に迷惑をかけないこと。
4. 噛み付きや爪研ぎによって、天井・壁・床・柱などへ損傷を与えぬよう注意を払うこと。
5. 洗浄する場合は、毛が排水管に詰まらぬよう注意を払うこと。
6. 借主が本物件を一日以上不在にする場合は、同行又は第三者に預けるなどの手段を講じること。


ペット不可の物件でこっそり飼ったらどうなるのか
ペット禁止(不可)の賃貸住宅にもかかわらず、ペットをこっそり飼っていたことが判明した場合はどうなるでしょうか?
もちろん契約は解除され、部屋を出ることになります。さらに、違約金や損害賠償まで負わなければならないこともあります。

したがって、どうしても賃貸住宅でペットを飼いたいときは、ペット可の住宅を探すだけでなく、自分が飼育したい種類のペットが本当に飼育できそうか、飼育できるペットの大きさや頭数も含めてしっかり確認することが大切です。
また、ほとんどの賃貸住宅ではペットの飼育ルール違反に対してペナルティーを課しています。賃貸借契約書や「ペット飼育細則」に詳細が記載されているので、後々のトラブルを回避するためにも事前に確認しておきましょう。

 ペットの飼育ルール例
ペットを飼育する際は、下記内容を遵守するものとし、違反した場合は、貸主は借主に契約の解除を求めることができる。
1. 小型犬1匹とする。
2. 予防注射やワクチン接種などペットの健康を保ち、感染病予防の措置を怠らない
3. 物件内及び近隣に迷惑を掛けないよう、適正なしつけ、清掃など、徹底した管理を行う。
4. バルコニーでのトイレ、シャンプー、トリミング、犬舎などの常設は禁止とする
5. 契約期間の途中から飼育を開始する場合、飼育開始までに申し出て所定の追加敷金を貸主に支払う。

ペットと暮らす飼い主さんへ
賃貸住宅でペットを飼うのは思っている以上にハードルが高いもの。また、賃貸住宅の契約期間終了に伴う原状回復やペットに関するトラブルは、これまでたくさんの事例が報告されています。
「ペットと共に快適に自分らしい生活を送りたい」と思うようでしたら、ペットに対するしつけを行うだけでなく、マンションやアパートの共有部へ出るときはペットを抱きかかえる、ペットを自宅に置いたままの外出は控えるなど、ペット飼育のルールやマナーをしっかり守ることが大切です。動物を好まない人にも配慮して生活することを心がけてください。 

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